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【労働】 厚労省、「職場のパワーハラスメント」の定義を発表して具体例を提示しています。

   皆様、連休初日の朝、如何お過ごしでしょうか。東京地方は、生憎の雨模様でございます。

職場でのいじめやパワーハラスメントが近年の社会問題として顕在化していることを受け、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ(WG)」は2011年7月から、パワーハラスメントの現状や解決策について議論していました。
そして、厚労省は、2012(平成24)年1月30日に職場における「パワーハラスメント」の定義を発表し、報告書をネット上で公開しました。パワーハラスメントの対象には、上司から部下への行為だけでなく、同僚間や部下から上司への行為も含むとのこと。報告書では、パワーハラスメントに当たる具体的な行為を6つの類型に分けて提示しています。

1) 定義 :今までは、「損保ジャパン調査サービス事件・東京地判平20.10.21)」、「東京都ほか(警視庁科技職員)事件・東京地判平成20.11.26」などの判示文中であきらかとなっておりますが、今だ明確な定義づけはできていない状況でした。
このたび厚労省は、以下のような定義を行いました。

「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」

⇒ 「職場内の優位性」 ; パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指して使われる場合が一般的です。
しかしながら、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあり、こうした行為も職場のパワーハラスメントに含める必要があることから、上記では「職場内の優位性」を「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識などの様々な優位性が含まれる趣旨となっております。

⇒ 「業務の適正な範囲」; 個人の受け取り方によっては、業務上必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、これらが業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントには当たらないものとされます。

2) 職場のパワーハラスメントに該当する行為類型 (※ あくまでも例示列挙です。)

①暴行・傷害(身体的な攻撃)
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

↓ (具体的なアンケート事例。・当道府県労働局での相談事例)

< 身体的苦痛を与えるもの >
・ 段ボールで突然叩かれる・殴る。
・ 上司がネクタイをひっぱる、叩く、蹴る、物を投げる。
・ 0度前後の部屋で仕事をさせられる。

< 精神的苦痛を与えるもの >
・ 客の前で「バカ、ボケ、ナス、人としてなっていない。」
・ 社長の暴言、「何でもいいからハイと言え、このばかあま」
・ 私生活への干渉
・ 部下の非難を行うミーティングを上司が行った場合。
・ ロッカー内冷蔵室内の私物食品の盗みを疑われる。
・ 仕事を取り上げ、毎日、「辞めてしまえ」
・ 読み名は「婆さん」・業務日報はいつも怒声
・ 同僚の手や髪の毛を触る、不愉快な発言

< 社会的苦痛を与えるもの >
・ 社員旅行参加を拒否される
・ 回覧物を回さない、暑気払いや忘年会に呼ばれない。 
・ 中国転勤を断ったところ、仕事を与えず小部屋に隔離、など。

 

3)パワハラに対する解決方法について

ⅰ) 労使の対応
  -企業と労働組合の折衝
ⅱ) 行政の対応例
 ・ 厚生労働省の対応
 - 精神障害等の労災認定
 ・ 地方自治体の対応など
 - 労働委員会による個別労働関係紛争のあっせんなど

ⅲ) 裁判による対応例
・ 被害者は加害者本人に対し、不法行為責任(民法709条)に基づき、慰謝料や治療費について請求が可能となります。・・・・しかし、資力の問題がつきまとうリスクがあります。

・ 使用者への民事責任の請求 ; パワー・ハラスメントが使用者自身の行為と評価される場合のほか、実際にパワー・ハラスメントを行った従業員の行為が「事業の執行についてなされたもの」であるという場合は、使用者責任(民法715条)を請求できる。
・・・慰謝料や治療費のほか、パワーハラスメントを原因として退職に追い込まれた場合における「逸失利益」(得べかりし利益)、退職金等を請求できることになります。

・ 使用者への民事責任の請求 : 債務不履行責任
労働契約法5条に、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする」と規定されています。
使用者がこの義務を怠った(果たさなかった)場合には、使用者の意思によらないパワーハラスメント(業務上の指揮監督権・業務命令の濫用等の職場いじめ)につき、使用者に対して債務不履行責任が追及できます。

※先々月、パワーハラスメントの被害者側で労働審判を行いましたが、相手方会社の従業員側による暴力等が非常に悪質であり、いじめているところを写真にとって送りつける行為までしておりましたので、会社側にとってはパワハラを認めざるを得ない状況となりました。
ただし、被害者本人がうつ症状でしたので、事前に裁判所に上申書をお出しし、ゆっくりご質問頂戴できるようお願いしておきました。
解決としては、ほぼ見通し通りの満額は頂戴できたと思っております。

以上、ご参考になりましたら幸いです♪

 

 


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  1. 適正な仕事量ですが何も指標がありません。本来必要な要員を算定する場合は一人当たりこれくらいの仕事量を処理して欲しいという仕事量があると思うのですが・・。会社側も組合側もないのです。従ってガンバローで仕事をさせているんです。パワハラなのかもわからないのが現実です。これは労使にとってとても不幸なことであり社員はもっと不幸です。どのように考えれば宜しいのでしょうか?

    • @大石 佳典さま、基本的に、同職種の方の残業時間がどうなっているのか、その辺りの比較問題であったり、記入書類の作成時間であったり、それは出せる限り証拠をお出しして立証していくしかないですよ。
       法律の世界は数学の世界とは違います。できるかぎり主張の事実を裏付けていく、そういう世界です・・・。
       もし、問題が生じるようでしたら、労基署に報告なさることをお勧め致します。

    • しょう 美奈子様 何時も細やかな返信をしていただき感謝申し上げます。データを集めてみます。

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