
9.122014
只今(平成26年9月時点),朝日新聞の偏向報道,及び謝罪について連日報道されております。
ここで,改めて,報道の自由を認められたうえでの放送の自由についての一定の規制について,まとめたいと思います。
報道の自由自体は,表現の自由の一環として認められています。
最高裁大法廷昭和44年11月26日決定(博多駅テレビフィルム提出事件)
「 報道機関の報道は,民主主義社会において,国民が国政に関与するにつき,重要な判断の資料を提供し,国民の”知る権利”に奉仕する。」
- しかし私ども報道情報に接する者は,報道の際に,既に報道内容の編集という意図的行為が加えられていることを忘れてはなりません。
しかし,電波メディアの放送の自由は,「放送法」の下で,一定の特別な規制が課せられています。
(1) 公安および善良な風俗を害しないこと
(2) 政治的に公平であること
(3) 報道は真実を曲げないですること
(4) 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
① (規制当初は)放送用電波は有限で,放送に利用されるチャンネルは有限であり,放送事業を行うにふさわしい特定人に電波の排他的使用権を認める制度(放送局の免許制度)を与えていること
② (規制当初は)電波メディア放送は,即時かつ動画や音声をともなう映像を流して一般市民に伝えられる点で,受け手に強烈な影響力を及ぼすこと
などの理由がかつてから掲げられてきました。
これら規制根拠について昨今は,BSやCSなどの多チャンネル化が進み,根拠は弱まっているとする見解もあるが,やはり,別途契約を必要としない地上波の一般市民(受け手)への影響力は圧倒的であって,規制根拠を失うものではない,というのが私見です。
今回の朝日新聞偏向報道問題は,改めて放送法の規制の意義を考えさせられるべきであると思います。
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