
5.42012
皆様、GW4連休いかがお過ごしでしょうか。お仕事の方、お疲れ様です。
弊職もご多分に漏れず、自宅で起案に埋もれております。
今回は、弁護士をしていると当たり前となってしまうこと、しかし、皆様が感覚的に疑問に思われること、をちょっと綴ってみたいと存じます。
専門的な内容ではございません。お気軽にご覧頂ければ幸いです。
交通事故の被害者の方、あるいは医療事故の被害者の方が、何らかの後遺障害(これ以上治療を重ねても、もう快方に、回復に向かわない障害)が残ってしまったとします。
あるいは、被害者の方が亡くなってしまったとします。
このような場合、計算する際に何を「基礎収入(損害賠償を計算する時にベースとする被害者の収入」として捉えるか。これは、被害者個々人の現実的収入になるべく近い数字をとる、あるいは算出する、それが裁判所の判断・評価方法であり、弁護士もそれに従って算出しております。
たとえば、
・ 給与所得者 ; 事故前の現実収入額
・ 家事従事者(専業主婦等) ; 年齢等に応じて、対応の賃金センサスを用いることが多い( 「実務の友」より表・・但し年齢別は無し・・・http://www5d.biglobe.ne.jp/Jusl/IssituRieki/Chingin.html )
・ 幼児など年少者・学生 ; 賃金センサスの平均賃金額(男児は男性労働者のの全年齢・学歴計の賃金センサス、女子は男女労働者の全年齢・学歴計の賃金センサス)
・ オーバーステイ外国人労働者 ; 出身国の同年齢男女別平均賃金資料
を「基礎収入」として算出するわけです。
※ ちなみに、男女児の格差を減らす為の基礎収入採用につき、
⇒ 弊職の過去コラム(「男児と女児の命の値段」)をご参照下さい。
◆ 私的雑感 ◆
裁判所の採用している方法は、将来得ることの可能性があった収入につき、できる限り現実性のあるものに近づける、そのような努力のもとに、判例の蓄積によって出来たものです。
しかし、一般の方々のなかには、「命の値段が人によって違うのか?」と違和感を感じる方もいらっしゃると思います。特に同じ事故に巻き込まれた場合には・・・。
私も記憶によるものなので (この分野の本はかなり読み込んでいるので)どの出典か記載できず申し訳ないのですが、JAL123便の墜落事故の際、被害者同士のいさかいが若干有り、「ウチの子は優秀な進学校に入っている。御宅さんの子とは違うんだ。」などとの発言も遺族から出たとも聞いております。
また、弊職にご相談に見える方にも、同様の疑問をご呈示になる方もいらっしゃいます。
命に値段をつける、これは非常にセンシティブな問題です。
私も弁護士として、裁判所の考え方を当たり前のものとして受け容れておりますが、被害に遭われた方々、ご遺族の方々のお気持ちを一層汲み入れながら、実務に当たって行かねばと思う次第です。
乱文、失礼申し上げました。
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