
5.52012
こんにちは。連休も間もなく終わり。仕事が捗らず焦っております(^^ゞ。
本日は、民事裁判(訴訟)において、貴方が第三者(証人)として証言台に立つとき、どのような心構えが必要か、についてお話ししたいと思います。
証人尋問、と一般の方がお聞きになると、よくテレビドラマなどで見る、傍聴席には大勢の人が座っていて、証人の一挙手一投足が注目されて、真っ黒のスーツを着て、物々しい雰囲気で・・・という場面を想像なさるようです。
しかしこと民事訴訟については、このコラムをご覧頂けましたら、かなりイメージが変わるのではないかな、と思っています。
★ 一般的民事訴訟での、証人尋問が行われるタイミング ★
民事訴訟は、一般的に下記のような流れで行われます。
原告による訴訟提起(訴状陳述) ⇒ 被告による答弁書提出(訴状に対し、「ここは争いがない」「この事実は合っている」「ここは事実と異なる」等の認否=仕分け作業です)⇒ それに対する原告の認否・反論(準備書面提出) ⇒ これに対する被告の認否・再反論(準備書面提出) ⇒・・・・
このような流れが繰り返されていくなかで、本件訴訟で争われていない事実や法的論点は「削ぎ落とされ」、当事者間で「争いとなっている事実」、「争いとなっている法的争点」が明確になっていきます。
この段階で通常、裁判官の訴訟指揮により、一旦、和解が出来るかどうか試みられることが多いですが、双方の主張等に開きがある場合は、和解は難しいということになります。
その場合には、争点を明確にしたうえで、主張や証拠等が出尽くしたことを双方当事者に確認のうえ、(必要に応じて、「争点整理メモ」を作成し、両当事者にお渡しになる裁判官もいらっしゃいます)、ほぼ最終的局面に証人尋問が入ります。
★ もし、あなたが証人になったら・・・(原告、あるいは被告に証人をお願いされたら) ★
貴方の友達、知人などが訴訟の当事者(原告や被告)になっていて、自分の主張を立証する裏付けとして、貴方が裁判所で証人として証言台に立つことをお願いされるかもしれません(なお、最終的に、あなたに「証人」として話を聞く必要があるかどうか、そして所要時間は、双方当事者(の代理人弁護士)の意見を聞いた上で、「裁判官」が決めます。)。
もし貴方が「証人」となることが決定すると、通常、貴方に「証人」となることをお願いした当事者の代理人弁護士と、事前打ち合わせをすることが一般的です。その際、「私からはこういう質問をしますから、このような内容で答えて下さいね。」、「相手からはこういう質問が来るかもしれませんから(これは当日証人尋問まで分かりません)こう答えましょうね。」といった練習をしたりします(あ、嘘の事実を証言するのはダメですよ(^^ゞ)。
さて、いよいよ証人尋問当日になりました。ちょっと緊張しますか?当たり前です。弁護士でも無い限り、誰でも緊張するのは当たり前です。
でも、テレビで見る証人尋問のドラマ部分は、大抵が「刑事訴訟」です。民事訴訟は一般的に雰囲気がもう少し柔らかいです(裁判官も、証人が緊張していることは十分ご存知ですから、多少口調も穏やかです)。
それに、報道されているような大きな民事事件では無い限り、傍聴席はガラガラです(関係者の方や、たまに、裁判所傍聴マニア?!の方がいらっしゃることもありますが)。
あなたはまず証人尋問が始まる前に、「宣誓書」(真実を述べ、嘘をつかないことを誓います)に署名、捺印します。この時、印鑑を持っていくことをできるだけ忘れずに。
もし忘れると、右手人差し指で指紋を押すことになります(^^ゞ(ちょっと恥ずかしいですね)。
さて、いよいよ証人尋問が始まります。
初めは、そして裁判官も傍聴人も起立したなかで、貴方が証言台の前で、先程署名捺印した宣誓書を読み上げます。
なお、証人が記憶に反したことを故意に証言すると、一応偽証罪(3箇月以上10年未満の懲役)になります(殆ど適用されることはありませんが)。
嘘はつかないようにしましょう。
その後は、証言台にある椅子に座って、まずは貴方を「証人」として呼んだ代理人弁護士から、所定の時間、質問がありますので、貴方はこれに対して自分の記憶に従って簡潔に回答します。(通常、予めリハーサルしているのであまり緊張しませんね♪)
次に、相手方の代理人弁護士から、所定の時間、質問があります。この時は、もしかしたら予想外の質問があるかもしれません。でも、慌てて急いで答える必要はありません。落ち着いて、自分の記憶に従って、落ち着いて答えましょう。覚えてないこと、知らないことについては、その旨を伝えましょう。
もしかしたら、自分が答えている最中に、相手方代理人弁護士が、「もう結構です。」と言うかもしれません。
そのような場合には、再主尋問といって、相手方代理人からの質問が全て終わったあとに、あなたに「証人」をお願いした当事者の代理人弁護士から、再度いくつか補充質問をしてくれることが殆どなので、落ち着いて。
最後に、裁判官から、いくつか質問がある場合があります。
この質問については、当事者(の代理人弁護士)にとってはとても重要な部分になるのですが(裁判官が、この事件についてどのような心証を持っているのか、どこに着目しているのかが分かるため)、あなたは証人ですから、ご自分の記憶にしたがって答えましょう。
これで、証人尋問は終わり。お疲れ様でした♪
★ ちょっとした注意事項 ★
・ 貴方を「証人」として呼んだ代理人弁護士も、相手方の代理人弁護士も、貴方に対して ”横から”質問します。でも貴方は、正面の裁判官を向いて答えるようにしましょう(このことは、当日裁判官からも説明があります)。
・ 貴方の発言は、後で証人調書(文書)を作成するために、書記官が録音しています。質問と答えがかぶってしまうと、録音が聞き取りづらくなってしまうので、ゆっくり質問を聞いてから、落ち着いて答えましょう。
・ 貴方は少しは緊張するでしょう。質問を聞き逃してしまったり、質問の意味が分からないかもしれません。
その時に、質問の意味も分からないまま曖昧に答えることは絶対にやめましょう( 事案を左右してしまうかもしれません)。
必ず、落ち着いて、何度でも遠慮なく、質問してきた弁護士、裁判官に質問のいみが分かるまで、「もう一度お願いします。」「質問の意味が分かりません。」と尋ねるようにしましょう。
少し、ご参考になりましたでしょうか♪
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