
5.82012
皆様、GW後半も終わり週明けは出社、いかがお過ごしでしょうか。
私めの本家サイト「法律のひろば」が只今、御専門業者にメンテナンスをお願いしておりましたため、バックアップでノートで記載しておりましたコラムを、只今転記させて頂いております♪
ところで、こちらのサイトをご覧になって頂いている皆様、民事訴訟のご経験がある方は何割ぐらいでしょうか。
もしかしたら、簡裁の少額訴訟はしたことがおありの方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、簡裁と地裁ではかなり異なることをご理解下さいませ。まず簡裁は、140万円以下の請求しかできません。それ以上になると、地方裁判所の管轄になります。また、簡裁の裁判官の多くは、本来裁判官として勤め上げてこられた方ではなく、地裁などの書記官が一定の年齢になると就任することが多いようです。従って、医療や交通事故などの複雑な案件になると、すぐ地裁に移送しようとします。(正直、今の簡裁はサラ金業者と過払い金請求弁護士の為にあるようなものです)
さて話がずれました。それでは地裁では、お互いにどのような主張・立証をしていくのでしょうか。
(ちなみに東京地裁では、本人が弁護士を付けないで訴訟提起すると、初回に、「弁護士を探しなさい」と裁判官に殆ど言われます。事件処理が多いため、細かな手続等を裁判所が教えている暇がないのと、本人にとって不利益となることが多いからです。)
こういう類型について、原告がどのように主張・立証し、被告がどのような反論・立証していくのか、これは過去の判例の積み重ねや、法的学問・実務の積み重ねにより一定のルール、指標が、簡単な事例については出来上がっています。⇒ これを 「要件事実」 と言います。
現在の司法制度については存じあげないのですが、私が経験した、旧司法試験制度の後の1年半みっちりの司法修習では、それこそこの「要件事実」を叩き込まれました・・・(辛かった・・(/_;))。
要件事実の例 (敢えて簡単なものにしますね)
1) 不動産所有者(所有権)に基づく、不動産占有者への不動産明渡し
<原告さんが主張すること>
・ X(原告・不動産所有者)は、本件土地を所有しています。
・ Y(被告・不動産占有者)は、本件土地を占有しています。
この事実をまず主張・立証することになります。
これに対して被告さんは、
<被告さんが反証-抗弁すること>
・ Y(被告・不動産占有者)はXから、本件土地を賃料月◯万円、期間の定めなく賃借した(あるいは、いついつまで賃借することになっている)
・ X(原告・不動産所有者)は、Yに対し、前述の賃貸借契約に基づき、本件土地をYに引き渡した。
骨子はこれなのです。
しかし通常、色々な複雑な事情が絡んでくるのが訴訟ですので、様々な主張も付加しますが、骨子は忘れてはなりません。
要件事実の例 (敢えて簡単なものにしますね)
2) 売買でのトラブル、売主が買主に費用請求をする場面
<原告さんが主張すること>
・ X(売主)は、平成◯年◯月◯日、Y(買主)に対し、ノートパソコンを代金◯◯円で販売した。
<被告さんが反証-抗弁すること>
・ X(売主)とY(買主)は、代金の弁済(支払い)期日を、平成◯年◯月◯日と合意した(まだその期日は過ぎていない。) あるいは、
・ Y(買主)は、X(売主)がノートパソコンを引き渡すまで、代金の支払いを拒絶する (※同時履行の抗弁権といいます。お互い不利益が発生しないようにとの担保です)
訴訟は、とかく複雑、長期化します。
これにおさまらない様々な争点が出て来るからです。
でも訴訟の大元は、各民事訴訟場面での「要件事実」、これを弁護士はおさえながら弁護活動を行っております。
少しでも参考になりましたら嬉しいです♪
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