
5.142012
こんばんは。お疲れ様です!
本日は、弁護士(や司法書士さん、金融機関さんなど)がよく発信する 「内容証明」 について綴ってみたいと思います。
従来は、内容証明といえば、所定の原稿用紙にカーボン用紙を挟んで3枚複写(ただしこの方法を採る弁護士は居なかったと思いますが)、あるいは、やはり所定の文字数、行数設定でプリントアウトした3枚同一の文章を、郵便局に持ち込んで発信手続きをとる(結構時間を取ること多い)という作成方法でした。
しかし今では、「電子内容証明」(インターネット上で内容証明の発信手続きが取れる。ただし、事前の会員登録必要)が普及したため、半数ぐらいの弁護士はこれを利用していると思われます(当職もそのうちの一人です)。
そのため、内容証明が、とても「お手軽な」手法となりました。
◆ 内容証明を出す意味・意義 ◆
勿論、「内容証明」の方法で必ず発信しなくてはならない場合もあります。
例えば、
・ 契約を解除する場合
・ クーリングオフを行使する場合 (これは、皆様結構関係ありますよね?)
・ 時効を暫定的に中断する場合
・ 特許権侵害等の警告書
・ 債権を譲渡する場合 ・・・・etc
「内容証明」を出す意味として、主に、「証拠を残すため」、「確定日付(=その日にその文書が存在していた、発信されたことを証明する)を付するため」がその代表となりますが、上記はまさにこれらの「内容証明」を使うべき場面です。普通の文書で発信しないようにしましょう。
(※ 金融機関さんなどが発信する内容証明は、大抵が上記の場合、すなわち、「内容証明」を使うべき場合です。)
◆ 内容証明を出す前に、ちょっと考えよう ◆
上記に加えて、内容証明には、もう一つの効果があります。
それは、「相手に対して、心理的圧迫・強制を与える」効果です。
もし皆様のもとに、ある日突然、「内容証明」が届いたら(郵便局員の人から手交されます)びっくりして慌てますよね!その心理的効果を狙って発信する場合です。
これが、「弁護士名」で発信されていたら、さらに焦りますよね・・。
弁護士一人一人、その経験から色々な判断を下し、色々な手法を選択しますから、どれが正解か、と申し上げることはできないと思いますが、相手方に対する弁護士としての初めての接触で、全て何でも「内容証明」という方法をおとりになる先生もなかにはいらっしゃいます。
しかし、あくまでも私見ですが、私は、将来の落とし処(解決どころ)を考えた場合、その方法には疑問を感じざるを得ません。
「内容証明」は、ある意味、相手方に対する「宣戦布告」的意味合いを持つことは否定できません。
しかし、案件のなかには、(それは法人様案件でも、個人様案件でも)、できるだけ穏便にすませたい、近所付き合いの関係なので波風を泡立てたくない、こちらにもちょっと弱い点があるので可能ならば話し合いで解決したい、協議の余地を大きく残したい、相手が精神的に不安定になっているところを追い込むようなことはしたくない、業務提携等の方法で解決したい・・・等々。
このような場合には、「内容証明」の手段をとることで、逆に本来狙っていた解決処を逃してしまうことも少なからずあるのです。
内容証明は、弁護士名ではなくて、皆様各位がご自身名義でお出しになる機会もおありかと存じますが、ちょっと立ち止まってお考えになられる場面も必要かもしれません。
なお、そもそも、前述のような理由から、「弁護士名で出すこと」で、柔軟な解決の余地を逃してしまう、と考えられる場合もございます。
そのような場合、弊職は、文案は(あまり本職らしくなく)作成させて頂いたうえで、名義はご本人で、ご本人から発信して頂くようお願いすることもございます。
以上、ご参考になりましたら幸いです♪
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