
6.72012
こんばんは。お疲れ様です♪
今日は,軽いコラムを綴ってみたいと存じます。 法学部ご出身の方や,企業で法律等を扱う部門にいらっしゃる方々におかれましては当然のこととしてご存知でいらっしゃるテーマで恐縮ですが,弁護士会や法テラス,あるいは個人の皆様の法律相談等をお受けする際によくあることは,
「 裁判所から訴状がいきなり来ました!自分が ” 被告 ” になってます!何か悪いことをしてしまったのでしょうか??」
いえいえ, それは大きな勘違いです。まずは焦らずに♪
◆ 民事訴訟での 「 被告 」 とは ◆
裁判には,「民事訴訟」と「刑事訴訟」の2種類があります。
TVドラマで取り上げられるのは,9割方「刑事訴訟」です(警察官や検事が登場したり・・・)。要するに,警察・検察の捜査によりある犯罪を犯した疑いがある人につき,有罪か,無罪かを審理する裁判です(裁判員裁判も,こちらです)。
これに対して,民事訴訟は,対立した当事者間の様々な紛争を法的に処理する裁判です。例えば,
「工事代金1,500万円を支払って欲しい。」,
「特許権が侵害されているので,販売を差し止めて欲しい。」
「放射能汚染で立ち退きを強いられているので,損害賠償して欲しい。」
といったような,広範な範囲に及びます。
民事訴訟では,
「 被告 」 = 訴訟の申立てをした人(原告)の相手方当事者
という意味にすぎません。また,「 訴状 」 = 原告による,被告への請求内容,主張を表す書面になります。
◆ メディアによる誤用・・・刑事訴訟では,「被告」とは言いません ◆
平素,法律や裁判にあまり縁のない方々が,民事訴訟の「被告」=「犯罪者?」といった戸惑いを感じてしまう大きな要因は,残念ながら,メディアによる法律用語の誤用にあります。
刑事訴訟で,警察や検察の捜査により犯罪の疑いをうけて起訴された人は,「被告」ではなく,「被告人」です。
しかしながら,メディアは,「〇〇(苗字)被告」といった用語での報道を今日まで継続しているため,民事訴訟の「被告」への悪いイメージが払拭されません。
私見としては, メディアのこのような取り扱いを,是非改めて頂けたら,と願っております。
◆ 「訴状」が届いたら・・ 無視,放置は,すなわち ”敗訴”です!◆
民事訴訟の「訴状」が届くと,その封筒のなかに,
・ 第1回口頭弁論期日(=裁判審理期日)の日時指定,と,
・ 「答弁書」を提出するように,
との指示が印刷された紙が同封されています。
「答弁書」とは,「訴状」,すなわち,原告が請求・主張している事柄についての認否(=この点は事実です,この点は違います,と言った内容)を記載した書面です。
この 「答弁書」 を,通常提出期限は,第1回口頭弁論期日の1週間前に指定されていますが,最悪遅くとも,第1回口頭弁論期日の時点で提出していないと,” 原告が訴状で主張した内容をそのまま認める判決 ”が下されてしまいます(一部例外もありますが)。
したがって,「訴状」が届いたら,これを無視することなく,速やかに,お近くの弁護士など法律の専門家にご相談なさるか,弁護士会などの法律相談センターなどをご活用下さい。
※ メモφ(.. ) ; 民事訴訟については,法的手続上,代理人(弁護士,簡裁なら認定司法書士も)を立てることは要求されておらず,「被告」本人が自ら訴訟手続を行うことができます。
ただし,東京地裁では,訴訟取扱件数が多く,裁判所が,法的手続きに不慣れな 方々に対して丁寧に一から書面形式や進行手続等について教えることが困難であること,一方当事者のみに専門家である代理人がついていると,他方当事者が訴訟上不利益を被る恐れがあることへの配慮等から,弁護士を選任するよう(注:司法書士さんは地裁の訴訟の代理権はありません)強く勧められますのでご留意下さい<(_ _)>。
以上,ご参考になりましたら幸いです♪
(※ 写真は,フリー写真素材提供サイト・「foto.Project」さんのものです。)
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