
8.162011
(Facebookページに、2011,6,24に投稿した記事を転載したものです。)
こんばんは。猛暑に襲われた日本列島、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ところで、テレビなどで民事裁判などが報道される場合、原告弁護士団などが「全面勝訴」とか、「不当判決」といった布を持って裁判所玄関などに登場する場面がよく流されますので、裁判所に民事裁判が提訴された場合、最終的には「判決」で決まる、という印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
しかしながら、現実は異なります♪
仮に10件民事裁判があったとして、最終的に判決で決着がつくのは、2件あるか無いか程度であると思います。それでは、それ以外の8件についてはどのような決着がついているのか疑問をお感じになることでしょう。結論は、「裁判上の和解」です。
裁判所は、民事裁判で事案の審理が一定程度進むと、「和解の席につくお考えはありますか?」と尋ねてこられることが多いです。原告・被告当事者間の紛争において円満に解決できるのが一番望ましい、という考え方(早期解決も含めて)、あるいは、判決を書くのは大変だから、といった本音もちょっとはあるかもしれません^^;(1人の裁判官が抱えている事件数は相当量にのぼります)。
その席上で、裁判所から両当事者に個別に、「裁判所としては、これぐらいの線が妥当だと思いますが」といったような、その時点での、その事案における裁判所の心証が示されますので、両当事者としても、「その線」は無視できないわけです。特に、証人尋問も終わって、後は判決を待つのみ、といった段階での裁判所からの和解勧告は、まさにその判決を書くことになるであろう裁判官から一定程度の心証が開示されるわけですから、「判決になった場合はこれぐらいの金額になりそうだ。」といったことが、当事者でおおよそ掴めるわけです。
ただ難しいのは、心証をはっきり開示なさる裁判官もいらっしゃれば、あまり開示なさらない裁判官もいらっしゃるので、「その線」が掴みづらく、裁判官の発言を注意して聴きながら、経験則でおおよその判断をしていくことになります。
そのようななかで、「裁判上の和解」が成立する場面は多くなります。なお、「裁判上の和解」で作成される「和解調書」は、判決と同じ拘束力を持ちますので(万一、和解条項に記載された内容が実行されなければ、強制執行もできることになるなど)、法律上問題はありません。逆に、判決とことなり、和解条項には色々な条件を入れることができますので(たとえば、判決になれば一括払いになるところが、和解であれば分割支払いになったりなど)、円満解決に資する場面も多くございます。
ご参考になれば幸いです♪
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