
8.162011
(Facebookに2011,5,30に投稿させて頂いたものを転記しております。)
今夜は、交通事故の過失相殺の一事例についてご紹介させて頂きたいと思います。
今、交通事故の実務では、様々な交通事故事例の集積からいくつものパターンに類型化し、それぞれにつき過失相殺の割合(被害者にも落ち度がある場合に加害者の責任を減じること)をおおよそ定めております。
先日、拙宅のある品川シーサイドでも、横断歩道でひき逃げ事故が発生しました。
夜間は車通りが少なくなるので、おそらく歩行者の方が油断して赤信号横断をしてしまったのだと思います。
歩行者が横断歩道を横断している間に、直進車両に轢かれてしまった場合には、どのような過失相殺割合が適用されるのでしょうか。
この際、まず
■ 歩行者信号に変更が無い場合(歩行者が渡りきる直前に色が変わった場合も含む)には、
(1) 車が赤信号、歩行者が青信号の場合:原則、車に100%責任。
(2) 車が赤信号、歩行者が黄信号の場合:原則、車に90%、歩行者に10%の責任
(3) 車が赤信号、歩行者も赤信号の場合:原則、車に80%、歩行者に20%の責任
(4) 車が青信号、歩行者が赤信号の場合:原則、車に50%、歩行者に50%の責任
(5) 車が黄信号、歩行者が赤信号の場合:原則、車に50%、歩行者に50%の責任
(6) 車が黄信号、歩行者が青信号の場合:原則、車に70%、歩行者に30%の責任
が課されます。
その他、歩行者にとっての加算要素として、夜間、幹線道路、直前直後横断佇立・後退した場合等には、責任が加算されます。
逆に、車両にとっての加算要素として、住宅・商店街の場合、歩行者が児童・老人・幼児の場合、集団横断を行った場合、その他車に著しい加筆がある場合には、車両の責任が加算されます。
■ 歩行者信号の色が変わった場合(歩行者が横断歩道の横断を開始してから歩行者信号の色が変わり、道路の中央付近で車と衝突した場合)には、
(1) 車が赤信号、歩行者が青→黄→赤信号の場合:原則、車に100%の責任。
(2) 車が赤信号、歩行者が赤→青の場合 :原則、車に90%、歩行者に10%の責任
(3) 車が青信号、歩行者が黄→赤→青信号の場合:原則、車に90%、歩行者に10%の責任
(4) 車が青信号、歩行者が黄→赤の場合 :原則、車に80%、歩行者に20%の責任 が課されます。
その他、歩行者、車両にそれぞれの加算要素があることは、前項で掲げたとおりです。
このように見ていくと、車通りに合間ができたからといって、迂闊に横断歩道を赤信号横断すると、万が一の場合に歩行者に相当の責任を追うことになる(過失相殺を受ける)ことが明らかです。
したがって、平素横断歩道を渡るときには、「今渡ったら、何割過失相殺を喰らう~」と思い起こして、青信号になるまでお待ちすることをお薦め致します。
<参考>
交通事故・損害賠償額算定基準(赤い本)ー弊職も編集に関与させて頂いております♪
Copyright © 法律のひろば /弁護士 莊 美奈子 All rights reserved.