
4.262019
これは法曹、及び法律コラムの話題ではなく純粋にITセキュリティーの話題になりますが、平素インターネット法律問題を扱う弁護士として関心があると同時に留意している問題ですので、注意喚起、及びご紹介としてコラムを書かせて頂きます。
余談ですが、中華人民共和国やイランなど政府によりウェブサイト検閲、及び閲覧規制がかかっている国へご旅行なさる方にもご参考になるかと存じます。
例えば、街中のスターバックスに入ってWi-Fiをオンにするとこのような表示が出てくると思います。
このスターバックスのWi-Fi は無料でお手軽に使えますが、これに接続してメールチェックをなさったり、クラウドサーバーにアクセスなさったりしてはいませんか?
暗号化通信ではない公衆無線 LAN では、他の人の通信を盗聴することが容易であり、また実際情報漏洩被害も発生しております。
個人情報管理が厳しく課されている現在、喫茶店でのノマドワークなど論外で絶対に控えるべきですが、ちょっとメールチェックをしたいがモバイルルーターを携帯していない、そのような場合の次善策として 「VPN サーバーに対して VPN 接続を行い、その VPN サーバーを経由して通信を行う」(以下、VPN接続の利用、と書きます)ことにより、完全にではありませんがかなりの割合で盗聴のリスクを下げることができます。
現在、VPN接続サービスを有料で提供している業者さんが複数ありますが、そこそこコストもかかります。
そこで無料VPN接続サービスとしてお勧めしたいのが、国立筑波大学が無料提供しているVPNGate (VPN Gate 学術実験プロジェクト)の利用です。
VPN Gate 学術実験プロジェクトの Web サイトには、誰でもアクセスすることができる公開 VPN 中継サーバーの一覧が公開されています(世界中のボランティアが提供する多数のVPNサーバーによって構成されています)。これらの VPN サーバーには、インターネットに接続している方であれば誰でもユーザー登録なしで接続できます。さらに各 VPN サーバーの IP アドレスは固定されておらず毎日変動するため、外国政府等の検閲用ファイアウォールの回避に効果的です(この点は市販の有料サービスよりも優れているかもしれません)。
これらにより、
・ 政府の検閲用ファイアウォールを回避し、海外の YouTube などの Web サイトを自由に閲覧できる。
・ IP アドレス が VPN サーバーのものに書き換わり、インターネットで安全に情報発信をしたり、Web コンテンツを閲覧することができる。
・ 暗号化により公衆無線 LAN を安全に利用できる。
ことが可能になります。
例えばイラン国内からインターネットを利用する場合、Facebook等は政府が閲覧規制をかけているため通常は表示されないのですが、日本のVPN サーバーに接続し経由すれば、通信のIP アドレスは、すべて日本が発信源となるため、日本国内からアクセスしているかのような外観で、イラン国内から直接アクセスすることができないWebサイトに、アクセスすることが可能になります。
初期設定だけが少々面倒ではあるのですが(端末、OS毎に仕様が異なるため、設定マニュアルをご紹介するにとどめます)
筑波大学VPNサービス設定マニュアル をご参考になされば素人でも容易に設定可能です。
また、サービス詳細については、
VPNGate学術実験サービスへようこそ(筑波大学学術実験プロジェクト公式)
をご覧下さい。
毎日変動するVPNサーバーもここから選択することができます。
公衆無線LANをご利用なさる際、あるいは、インターネット規制国家に渡航なさる際にご活用頂けましたら幸いです。
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