
11.192019
企業取引のGrobal化が一般化している現在、中小企業様やベンチャー企業様も取引先から英文契約書ドラフト案を提示される場面が数多くあります。
むしろ新規事業のチャンスの多くは海外マーケットにあるため、組織は小規模ながら成長中の企業様においてそのような場面が多く訪れ、私共も英文契約書ドラフトチェックのご依頼を日常的にお受けしております。
ベンチャー企業様はコストや労力を新規ビジネス本体に鋭意集中投下させる必要がありますし、いわゆる翻訳業者はコストが高い(かつ法律家ではありませんので英文契約書の文意をきちんと把握できていないことも多い実情があります)ですから、典型的な英文契約書については社内でレビューをし、個別複雑な契約書については弁護士のリーガルチェックに回すという体制をとっておられる企業様も多いかと存じます。
スタートアップ企業の社内担当者様が英文契約書を最初に取り扱おうとするときに、まず馴染むべき表現についてここで取り上げます。
英文契約書における独特な表現として、herein、hereofといった ”here+前置詞” の言い回しが登場します。
これらは時として文意解釈の混乱を招くことがあり使用を避ける向きもありますが、簡潔で便利な表現であることから現在も英文契約書のなかで多々用いられている表現です。
これらの表現に慣れると英文契約書への心理的ハードルがかなり下がると言えましょう。
herein = in this Agreement 本契約における
hereof = of this Agreement 本契約の
hereunder= under this Agreement 本契約に基づく
hereto = to this Agreement 本契約に、本契約に対して
以上のように、基本的には “here” は “本契約”を指します。
実際の契約書文中からいくつか例文をあげてみます。
the mutual promises, warranties and conditions herein
本契約における相互の合意、保証、条件等
on the execution date hereof
本契約の発効日に
of its rights hereunder
本契約に基づく(本契約で定められた)権利の
instruments in writing signed and delivered on behalf of each of the Parties hereto
署名され本契約の他方当事者に送達された法律文書
ただし、これらの “here+前置詞” は使われる場面によっては、「本件条項」を特定して指している場合もありますので留意して下さい。
英文契約書の冒頭部分(前文部分)や、各条項の第一文中においてよく
hereinafter referred to as ~
という表現が出てくることがあります。
これは、「本契約において以下を〜と呼ぶ」という意味であり、本契約文中に複数回出てくる用語について略称を用いたい場合に使う表現です。
多くの英文契約書の前文に出てくる表現として以下の文例があります。
The parties are hereinafter sometimes referred to together as the “Parties” and individually as a “Party”
これは全当事者を合わせて”当事者ら”と呼び、個々の当事者については”当事者”と呼ぶ
という意味になります。
ご参考になれば幸いです。
英文契約書のドラフトチェック、修正や翻訳等が必要な場合には遠慮なくお問い合わせ下さいませ。
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