
8.172011
(Facebookに2011,5,20に投稿した記事を転載したものです。)
引き続き、株主総会準備、及び、当日の運営方法について、会社を起業なさったばかりの方々に向けて書かせて頂きます♪
株主総会の円滑な進行のためには、株主から出される質問事項を想定して回答を用意したり、リハーサルを実施するなど、様々な事前準備をしておくことをお勧めします。
ベンチャー企業においては、経営方針等につき株主に十分理解してもらい、会社の将来的発展に向けて継続的なサポートが受けられるよう、株主からの個々の質問に1つ1つ丁寧に、誠実に回答していく姿勢が望ましいでしょう。また、総会の運営方法として、事業報告書を淡々と読み上げて報告するのではなく、スライドやビデオ上映、PC、パワーポイント等を用いてビジュアル化を図ることにより、総会に活気を与え、株主に好印象を与えることができるでしょう。ただし、これら機器を使用する場合には、本番で万一故障等が生じた場合にも滞りなく総会が進行できるよう、次善策を講じておく必要があります。
また、株主総会は多数の社外株主が参集するまたとないチャンスです。ベンチャー企業の中には、株主総会終了後に株主との懇談会を設けて意見交換を行っている会社や、製品説明会等のイベントを企画している会社もあり、会社のピーアールに効を奏しているようです。
● 総会終了後の手続き ●
株主総会終了後には、まず遅滞なく議事録を作成しなければならず、総会終了後3~4日以内で作成するのが通例です。議事録には、株主総会開催日時及び場所、議長の氏名、出席した取締役・監査役らの氏名、総株主の議決権数と出席株主の状況、議事の経過の要領及び決議の結果、議事録を作成した取締役の氏名などを記載する必要があります(なお、株主総会決議により代表取締役を定めた場合には、本人確認のため市区町村長作成の印鑑証明が添付書類となることから、従前どおり議長及び出席取締役の記名押印が必要となる場合があります)。
作成された議事録は、株主や債権者が閲覧・謄写に供するため、原本を本店に10年間、謄本を支店に5年間備置することになります。なお、議事録の不作成や不実記載は会社法で罰則(100万円以下の過料)の対象となっていますので注意が必要です。
また法令は、同様に遅滞なく決算公告、すなわち貸借対照表またはその要旨(大会社では、損益計算書の公告も必要)を官報に掲載するといった方法で公告することを義務付けており、公告を怠った場合の罰則規定もあるのですが、小規模会社では残念ながら決算公告を行っていない会社が多いのが現状です(なお、電磁的方法による公告もできます。)。
さらに、株主総会決議により、定款変更、取締役・監査役の選定等の登記事項に変更が生じた場合には、本店所在地では2週間、支店所在地では3週間以内に変更登記を行うことを忘れてはなりません。その際には、総会議事録原本1通を申請書に添付する必要があります。
また、大会社等においては、法律上の義務はありませんが、総会の決議結果を記載した決議通知を株主に通知することが広く行われており、欠席株主に対するフォローができるほか、会社内容及び会社商品に関する資料を同封するなど、企業アピールに利用することもできます。配当がある場合には、郵便振替支払通知書あるいは配当金領収証(ただし後者は印紙税の課税対象)を同封します。
以上、概略的に株主総会の進め方につき見てきましたが、将来株式上場を視野に入れておられる起業家の皆様は、早い段階から株主総会の運営に取り組み、経験を積まれてはいかがでしょうか。
※ 『はじめの一歩シリーズ 会社を経営するならこの1冊』(共同執筆、ベンチャーサポート研究会編、自由国民社)の、弊職執筆担当部分より抜粋し、部分的に平易な文言に変えたものです。
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