
8.182011
(Facebookに2011,5,5に投稿したコラムを転載したものです。)
皆様、こんばんは。いかがお過ごしでしょうか。帰省からのラッシュの中、運転中の皆様は、こまめに休憩をお取りになりながら安全運転、宜しくお願い申し上げます。
ところで、運悪く交通事故の被害者となってしまった場合、被害者は加害者(あるいはその加入保険会社)に対していかなる費用を請求できるのでしょうか。
勿論、実際に請求できる費用については、個々の被害者の事情によって異なってきますので、一般論として項目を列挙させて頂きます。
<積極損害部門>
① 治療関係費 ; 治療費、鍼灸・マッサージ費用・器具薬品代(但し医師の指示がある場合)、温泉治療費等(但し医師の指示があり治療上有効と認められる場合)、入院中の特別室使用料(医師の指示がある等の場合)、症状固定後の治療費(一般的には否定)、将来の手術費、治療費等
② 付添看護費 ; 近親者の入院付添費(医師の指示や受傷程度による)、通院付添費(幼児、または症状から必要とされる場合)、症状固定までの自宅介護費、将来介護費(医師の指示や重度傷害等による)、
③ 入院雑費等
④ 通院交通費・宿泊費等
⑤ 医師等への謝礼(社会通念上相当な範囲)
⑥ 学生・生徒・幼児等の学習費・保育費・通学付添費(被害程度や家庭事情を具体的に考慮)、
⑦ 装具・器具等購入費(必要性の検討)
⑧ 家屋・自動車等改造費(後遺症の程度により必要がある場合)
⑨ 葬儀関係費用、帰国費用等(傷害程度等による)
⑩ 損害賠償請求関係費用(診断書等の文書料)
⑪ 弁護士費用(全額ではない。最終的認容額の1割程度)
⑫ 遅延損害金(事故日起算)
<休業損害>
・ 有職者、家事従事者、無職者等により異なってきます。
<後遺症による将来の逸失利益>
・ 有職者、家事従事者、無職者、学生等、高齢者により異なってきます。
<死亡による逸失利益>
・ 有職者、家事従事者、無職者、学生等、高齢者により異なってきます。
<慰謝料>
・ 死亡した場合は死亡慰謝料 ; 一家の支柱か、母親・配偶者か、その他により異なってきます。
また同居していた親族に固有の慰謝料が認められることが多いです。
・ 傷害慰謝料 ; 原則として入通院期間を基準にして定めます。
・ 後遺症慰謝料 ; 後遺症傷害等級により定まります。近親者固有の慰謝料(傷害が重篤の場合)
<物損>
・ 修理費、あるいは、経済的全損の場合にはその価額
・ 買替差額(全損し、車体の本質的部分が客観的に重大な損傷を受けてその買替をすることが社会通念上相当と認められる場合、事故時の時価相当額と売却代金の差額)
・ 登録手続関係費(登録、車庫証明、廃車手続料など)
・ 評価損(修理しても外観や機能に欠陥を生じ、又は事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合ー容易には認められない)
・ 代車使用料(相当な修理期間分)
・ 休車損(営業車の場合、相当な修理・買替期間中につき)
・ 雑費(レッカー代、保管料、時価査定料、廃車料など)
・ 営業損害等(家屋や店舗に車が飛び込んだ場合)
・ 積荷その他の損害
・ 物損に関する慰謝料ー原則認められない
・ ペットに関する慰謝料
これらの項目が、一般的概括的な請求費目となって参ります(個々の争点については別の機会に譲ることとします)。
ここから、受領済みの自賠責損害賠償額、社会保険給付等を受けた場合の控除、及び過失相殺等の作業が行われて支払保険金額は決まります。
費目チェックのうえでご参考になれば幸いです。
(出典ー損害賠償算定基準、(財)日弁連交通事故相談センター東京支部発行。当職も支部委員として携わっております♪)
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