ブログ

【著作権】職務著作(法人著作)について ー 会社の従業員として作曲やイラストを製作した場合

(Facebookに2011,5,4に投稿したコラムを転載したものです。)

こんばんは。お盆明けいかがお過ごしでしょうか。
昨日(注:Facebook2011,5,3、本サイトでは1つ先の記事)では、【特許権】従業員の職務発明・業務発明・自由発明に対し、会社が行っておくべきリスクヘッジについて、とのタイトルでコラムを書かせて頂きました。
しかしこのままでは、会社の従業員として作曲やイラスト作成、プログラム製作を行った場合にも、その著作権は特許権と同じように従業員に帰属するのではないか、との誤解が生じてしまうと困りますので、今日は著作権について軽く触れてみたいと思います。

皆様が会社の従業員として、その日々の業務のなかで作曲やイラスト作成、多くのドキュメントを作成なさることは、日常的に多々おありかと思います。

それでは、これら著作物の著作権は誰に帰属するのでしょうか?

著作権法においては、原則として、著作権は著作者(著作物を創造した方)に帰属するのが原則とされています(著作権法17条)。ここまでは特許権の場合と同じです。

しかしながら、会社等の内部で従業員が職務上作成した著作物については、会社が原始的な(=著作物が生み出された当初から)著作者となり、著作者人格権(=「公表権」:未公表の著作物を公表するかどうかを決定する権利、「氏名表示権」:著作者名の表示をするかどうか決定する権利、「同一性保持権」:著作物の内容等を著作者の意に反して改変されない権利)も会社に原始的に帰属すると著作権法15条は定めているのです(いわゆる職務著作、あるいは法人著作)。

これは、著作物について社会的に評価や信頼を得、またその内容について責任を有するのは会社であると一般的に考えられることからであると言われています。

そして、職務著作と認められるためには、以下の4要件、すなわち、

① 会社の発意に基づくものであること、
② 会社の業務に従事する者が職務上作成するものであること、
③ 会社が自己の名義で公表するものであること、
④ 契約、勤務規則その他に別段の定めがないこと、
を充たす必要があると考えられています。

したがって、前述の4要件を充たす場合には職務著作となり、会社側としては、昨日のコラムで言及しました特許権の職務発明とは異なり、就業規則やその他規則において予約承継を定めておく必要はないということになるのです。

関連記事

お問い合わせ

お気軽にお問い合わせ下さい。
TEL : 03-5460-6007
E-Mail : こちらからどうぞ

おすすめ記事

  1. 商取引で契約書を締結する場合、将来のビジネスリスクヘッジをするためにポイントとなる条項が損害賠償責...
  2. 役職定年制(管理職定年制度)とは、部長や課長といった管理職社員を対象とし設定した年齢に達すると...
  3. かつての終身雇用制度が崩れつつある現在、転職あるいは独立することでキャリアアップに繋げている皆様も多...
  4. 遺言書の文面全体の左上から右下にかけて、赤色のボールペンで1本の斜線が引かれていた場合の、遺言書の効...
  5. 早いもので今年も,プロ野球はシーズン公式戦を終え,日本シリーズを残すのみとなり,ドラフト会議を間近に...
  6. こんにちは。
  7. 音楽などのエンターテイメントビジネスでも,インターネットビジネス等々,様々な場面で著作権譲渡であった...
  8. 近年,就労方法が多様化する中で,企業と雇用と被雇用の関係にあるのか否か(個人請負型就労者・雇用と自営...
  9. 皆様,お世話になっております。
  10. 週末,こんにちは。当コラム更新につき,大分間隔が空いてしまいました。

Facebook Messenger

ページ上部へ戻る
whatsapp
何かお困りですか。 チャットでお気軽にお尋ね下さい。
this site uses the awesome footnotes Plugin