
8.182011
(Facebookに2011,5,4に投稿したコラムを転載したものです。)
こんばんは。お盆明けいかがお過ごしでしょうか。
昨日(注:Facebook2011,5,3、本サイトでは1つ先の記事)では、【特許権】従業員の職務発明・業務発明・自由発明に対し、会社が行っておくべきリスクヘッジについて、とのタイトルでコラムを書かせて頂きました。
しかしこのままでは、会社の従業員として作曲やイラスト作成、プログラム製作を行った場合にも、その著作権は特許権と同じように従業員に帰属するのではないか、との誤解が生じてしまうと困りますので、今日は著作権について軽く触れてみたいと思います。
皆様が会社の従業員として、その日々の業務のなかで作曲やイラスト作成、多くのドキュメントを作成なさることは、日常的に多々おありかと思います。
それでは、これら著作物の著作権は誰に帰属するのでしょうか?
著作権法においては、原則として、著作権は著作者(著作物を創造した方)に帰属するのが原則とされています(著作権法17条)。ここまでは特許権の場合と同じです。
しかしながら、会社等の内部で従業員が職務上作成した著作物については、会社が原始的な(=著作物が生み出された当初から)著作者となり、著作者人格権(=「公表権」:未公表の著作物を公表するかどうかを決定する権利、「氏名表示権」:著作者名の表示をするかどうか決定する権利、「同一性保持権」:著作物の内容等を著作者の意に反して改変されない権利)も会社に原始的に帰属すると著作権法15条は定めているのです(いわゆる職務著作、あるいは法人著作)。
これは、著作物について社会的に評価や信頼を得、またその内容について責任を有するのは会社であると一般的に考えられることからであると言われています。
そして、職務著作と認められるためには、以下の4要件、すなわち、
① 会社の発意に基づくものであること、
② 会社の業務に従事する者が職務上作成するものであること、
③ 会社が自己の名義で公表するものであること、
④ 契約、勤務規則その他に別段の定めがないこと、
を充たす必要があると考えられています。
したがって、前述の4要件を充たす場合には職務著作となり、会社側としては、昨日のコラムで言及しました特許権の職務発明とは異なり、就業規則やその他規則において予約承継を定めておく必要はないということになるのです。
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