
8.202011
(Facebookに2011,3,8に投稿したコラムを転載したものです。)
猛暑が一段落した週末、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、個人破産で破産者の手元に残す(=管財人が換価や取立をして配当等に回さない)範囲について書いてみようと思います。
法人破産の場合には、財産の全てが換価対象(=管財人が売却などを行って金銭に換価し、債権者への配当等に充当すること)となりますが、個人が破産する場合には、その破産する方の生存権の保障等の観点等から、以下の範囲の財産については換価対象や取立対象にしないという指針(原則)を東京地裁はとっております。(これはあくまでも東京地裁の場合であって、各裁判所によって異なります。)
① 99万円以内の現金
② 残高が(複数口座がある場合には各口座を合計して)20万円以下の預貯金
③ 生命保険契約のうち、解約返戻金見込額が20万円以下のもの
④ 自動車のうち、処分見込額が20万円以下のもの
⑤ 居住用賃借家屋(=現在賃借して住んでいる建物)の敷金
⑥ 電話加入権
⑦ 勤務先に対する退職金債権のうち、現時点での支給見込額の1/8相当額が20万円以下の場合
⑧ 勤務先に対する退職金債権のうち、現時点での支給見込額の1/8相当額が20万円を超える場合、その退職金債権の7/8
(=すなわち、1/8相当額については換価・取立対象となるということです)
⑨ 家財道具
⑩ 差押えを禁止されている動産又は債権(例:国民年金、生活保護等)
(参照:東京地裁破産再生部:「管財事務の手引き」)
破産者の債権者となってしまわれた会社や個人の方々にとっても、維持しなければならない経営、そして生活があることは一管財人として重々承知しておりますし、債権者集会でも債権者各位から疑問が投げかけられることもございますが、数多くある破産事件の取扱の公平を期する観点からも定められている指針ですので、何卒ご理解頂ければ幸いです。
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