
8.202011
(Facebookに2011,2,18に投稿したコラムを転載したものです。)
今回は、一般居住用賃貸借において、借主はどの範囲まで費用負担する(=通常は、原状回復工事は家主が行い、借主が預託した敷金から控除されることが殆どです)必要があるのかについて取り上げたいと思います。
この点については、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(国土交通省 住宅局住宅総合整備課)が参考になります。・・・が、このガイドライン、
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/genzyokaifuku.htm
からPDFでダウンロードできるも、なんと100頁以上ございます(^^ゞ。そこで、ごく簡単に掻い摘んでお話しさせて頂きます。
まず、原則として、借主は、故意や不注意によって生じさせた棄損や傷については、原状回復義務を負う(工事費用を負担する)ことになります。逆に、経年変化や、通常の使用による損耗・傷等の復旧については、貸主が行うのが原則であって(次の入居者のためのリフォームも同様)、借主がその費用を負担する必要はありません。なぜなら、通常の使用に伴う損耗等は、建物部分の使用収益の対価である賃料によってまかなわれる(要するに、家賃に含まれている)と考えられているからです。
前述のガイドライン等から具体的な例を挙げると、飼育ペット等による柱等の傷、換気扇等の油汚れ、風呂・トイレ・洗面台等の水アカやカビ、結露を放置したため拡大したカビ・シミ、壁等の釘穴・ネジ穴(下地ボードの貼り替えが必要な程度のもの)、カーペットに飲物等をこぼしたことによるシミ・カビ・・等は、借主が原状回復義務を負わなければなりません。
逆に、畳の裏返し・表替え、家具の設置による床・カーペットのへこみ、タバコのヤニ(クリーニングで除去できる程度)、壁に貼ったポスターや絵画の跡、クロスの変色(日照によるもの)、地震で破損したガラス、浴槽・風呂釜等の取替え等は、家主の負担になります。
以上、ご参考になれば幸いです♪
Copyright © 法律のひろば /弁護士 莊 美奈子 All rights reserved.