
8.222011
(Facebookに2011,2,11に投稿したコラムを転載したものです。)
さて今夜は、著作権でよく問題となる、他人の著作物の「引用」をする際の注意点について触れたいと思います。
原則として、他人の著作物を利用するためには、その著作権者から利用許諾を得る必要があります。しかしながら著作権法は、一定の場合に限り、著作権者の利用許諾を得ることなくして、自由に他人の著作物を利用できる場合を定めています(いわゆる「フェア・ユース」)。例えば、私的利用のための複製、教育目的のための複製、政治上の演説の利用等々です(著作権法30条以下)。
そのような、著作物の自由利用の例外の一つが「引用」、すなわち、報道、批評、研究その他の目的で、自己の著作物中に他人の著作物を取り込んで利用する場合、になります。
この点、最高裁判例(昭和55年3月28日・パロディ事件)では、「引用にあたる(=合法なフェア・ユース)というためには、・・・引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明確に区別して認識することができ、かつ、右両著作物の間に前者が主、後者が従の関係があると認められる場合でなければならない・・・」と判示しています。
すなわち、①引用する著作物と自分の著作部分が明瞭に区別されていること、②自分の著作部分が主、引用する著作物部分が従(分量、内容、引用した目的などを総合判断)という関係が必要ということです。
また引用するにあたっては、引用する著作物の出所・出典を明示する義務が課されておりますので、ご注意下さいませ。
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