
12.202011
今回は、家事手続について書かせて頂きたく存じます。
「面接交渉権」という言葉をよくお聞きになられるかと存じますが、「面接交渉権」条項とは、子のある夫婦が離婚する場合には、一方親権者に対して、他方配偶者が「子どもに会わせて欲しい」と認める条項です
面接交渉権というのは、いわゆる法的強制できる権利ではありません。
あくまでも子の精神状況、育成状況、環境等に照らし、子どもの利益にかなうことが認められて、当事者の協議や調停・審判でその行使できる面接交渉の具体的内容が決まって、初めてそこで面接交渉が承認されるというシステムです。
だから、両親のエゴではなく、子の平穏な生活、育成において+になるのかという観点が重要です。
◆ 一般的条項としては、
「相手方は、申立人に対し、申立人が当事者間の長男◯◯と、月1回程度の面接をすることができる。その具体的日時、場所、方法については、子の福祉を慎重に考慮して、当事者間で協議して決める」というのが一般的です。
◆ さらに、宿泊を認める場合には、~当事者間に信頼関係がある程度できている場合など。
「相手方は、申立人に対し、申立人が当事者の長所◯◯と、以下のとおり宿泊を伴う面接をすることを認め、その実子に向けて積極的に協力する。
1 原則として月2回程度。
2 夏休み期間中は、1週間以上の宿泊を伴う面接とする。
3 冬休み及び春休みの期間中は、それぞれ3日以上の宿泊を伴う面接とする。
4 具体的な面接の日時、方法等については、当事者双方が子の福祉を第一として慎重に協議して定めるものとする、。。」
◆ 面接時期・回数を定めた事例
「相手方は申立人に対し、当事者間の長女(平成◯年×月△日生)と面接交渉をすることを認め、その時間および回数は下記のとおり定める。
(1) 平成◯年◯月◯日午後◯時から同◯時まで
(2) 平成◯年◯月「以降、毎週第1土曜日の午後◯時から同◯じまで。ただし、第1土曜日に行えない場合は、第一月曜部の午後◯時から同◯日とする。
(3) 面接場所については、当事者双方が協議のうえ定める。」
◆面接以外の交渉で接触を認められた事例
「相手方は申立人に対し、申立人と当事者間の長女◯◯とが相互に、mail、電信、FAX等をつかって節度を以て自由に更新することを認める。
ただし、電話については、子から申立人に発信する場合にかぎり認める。」
◆学校行事への参加を認めた事例
「相手方は、申立人に対し、申立人が当事者間に長男◯○○の学校行事(入学式、参観日、卒業式、スポーツ大会等)に参加することを認める。
など、離婚後のこの面接交渉は、夫婦間の信頼関係に基づいて多種多様にわたります。大事なことは、子の育成・利益が守られることが最優先です。
親なんだから当然に面接交渉権が認められるはずだ、というのは間違いです。
最高裁平成12年5月1日の最高裁決定において、担当調査官は、明確に面接交渉の(親の)請求権という性格を否定し、子のために適正な措置を求める権利であると解するに至っております。現在の家裁実務もこれに習っています。
離婚調停をなさっている方の一助になれば幸いです。
※参考文献:離婚調停ガイドブック 梶村太市氏著
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