
12.252011
三連休の終日、そしてクリスマス当日夕方、いかがお過ごしでしょうか。
クリスマスツリーの映像は、本日までは季節外れにならないのですよね?^^;。
(数年前、新千歳空港のJR駅で撮影した画像です)
ところで本日、ツイッターを閲覧しておりましたところ、下記のような某企業公式メッセージが流れました。
「(野村證券)グループ広報部長の池田です。評論家と名乗る人物が、ネット上にて断定的に当社の破綻について語っているようですが、根拠のない憶測であり、現在、法的な対応を検討しております。お騒がせいたしました。 #野村證券 #野村ホールディングス 」
(個人名、企業名も出ておりますが、ツイッターで公に表示されたものであることから、そのまま表記させて頂いております。)
このメッセージで指摘されている、「評論家と名乗る人物」が、インターネット上で語ったとされる記事内容については、既にネット上から削除されており、私自身も確認することができませんので、詳細な言及は差し控えなければと思いますが、内容如何によっては、信用毀損罪などが成立してもおかしくないと考えております。
しかし、インターネット、ツイッター、Facebook、Google+等の様々なネット媒体、SNSが広く普及している現在におきましては、その中における企業等に対する発言が、内容如何によっては信用毀損罪、業務妨害罪、名誉毀損罪等に抵触する可能性があることを十分に留意しなければならないと感じます(勿論、個人に対する発言も、名誉毀損罪、侮辱罪等に抵触しえます)
○×企業の資金繰りが苦しい、○×企業が破綻する、○×企業の商品に欠陥がある、等の情報のインターネット上での流布が、虚偽の情報であった場合、たとえ流布した人が単なる好奇心や悪戯心等でやったに過ぎないとしても、現在のインターネット情報の広範な流布の現実的可能性に照らせば・・・
虚偽の情報を流し、当該企業や人の「信用」、すなわち、支払能力等の経済的能力に対する一般社会からの信用・信頼を低下させる行為を行ったとされる場合には、現実に「信用」が失われなくとも、「信用」を失うおそれがある状態が生じたときには、「信用毀損罪」(刑法233条)が成立することになります。
また、虚偽の情報を流し、当該企業や人の継続的業務(営利を目的としない継続的業務もこれに含まれます)の正常な遂行等に支障を生じさせるおそれのある状態が生じた時には、「業務妨害罪」(刑法233条、234条)が成立することになります。
「名誉毀損罪」(刑法230条)については、ちょっと難解な部分もあり申し訳ないのですが、「不特定または多数人が知りうる状態」(少数の限定された仲間内でパスワード等をかけてチャットをする場合等は別論、インターネット上の発言は通常これに該当することが大半です)、具体的な「事実の摘示」(真実であっても)を行うことにより、人(法人を含みます)の社会的評価(=「名誉」の解釈)を低下させるおそれのある状態が生じた時に成立することになります。
⇒ 但し、名誉毀損罪には解釈上、名誉毀損罪が成立しない例外がございまして、
公共の利益に関する事実について
・ 摘示した事実が真実であるとの証明を裁判で立証した場合 あるいは、
・ 真実であるとの立証ができなくても、真実であると信じたことについて確実な資料、根拠に照らして相当な理由があると認められる場合
には、名誉毀損罪は成立しないとされております(最高裁判例)。
以上、インターネット上の書き込み等に際しまして、ご参考になれば幸いです。
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