
12.302011
おはようございます&こんにちは♪ 年の瀬、いかがお過ごしでしょうか。
私は、家事は夫任せなのですが(^^ゞ、仕事の残務処理に追われております(。・ω・。)。
ところで、交通事故などで不幸にして幼いお子さんが被害に遭われた場合(亡くなったり、後遺障害が残ったりした場合)、損害賠償額を決定するにあたって、算定のベースとなる将来年収(基礎年収といいます)にどの基準を用いるかが問題となります。
この点、昭和54年、昭和56年、昭和61年などの判例では、「賃金センサス」という平均統計に従って、
・ 男児については、男性労働者の全年齢・学歴計の平均賃金額
・ 女児については、女性労働者の全年齢・学歴計の平均賃金額
を基礎とするのが一般的でありました。
しかしながら、これによると、平成21年賃金センサス表では、男子については5,298.2千円、女子については3,489.0千円と大きな格差がついております。さらにこれに、平均余命までのライプニッツ係数(中間利息を控除した係数)を乗じたりするわけですから、最終的には大きな開きとなってしまっておりました。
ところが、男女機会均等法の実施などに伴い、男児と女児の基礎年収格差を無くす方向で判例も推移し、最近の判例等では、
・ 男児については、男性労働者の全年齢・学歴計の平均賃金額
・ 女児については、男女全労働者の全年齢・学歴計の平均賃金額
を採用する方向が採用されつつあります。
これにより、男児と女児との損害賠償額の開きは縮む方向にありますが、それでも、平成21年賃金センサス表では、男子については5,298.2千円、女子については4,705.7千円と格差が生じているのが現状です、
なお、このような取扱いをする年少者の範囲は、高校生以上になれば、将来の進路がある程度具体化することや、同年齢で就職している者のとの均衡を考慮して、義務教育終了時までとすることが多いようでございます(それ以上の年齢については、実収入を基礎とするのが原則で、それ以外の場合、それぞれの性別、学歴等により賃金センサス表を適用していくことになります)。
もし、後遺障害事例などで、本当に男女差を無くしていくためには、男児・女児ともに男女全労働者平均賃金を用いるのが格差を無くしていくことになりますが、これはなかなか悩ましい問題でございます。
何らかのご参考になりましたら幸いです♪
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