
3.82012
木曜日早朝・・・今から寝るのですが^^;(3:09)、こんばんは&お早うございます!
今回は、金額が大きいため相続のためによく問題となる、生命保険受取金についてまとめてみたいと思います。
(実はこの分野、細かい争点が多い分野であり、論文他多説存在する部分もあります)。
★ 生命保険契約の登場人物について
⇒ まず相続における生命保険受取金を検討するまえに、生命保険契約での登場人物3名について述べます。
◆ 契約者 : 当該生命保険の契約当事者(保険会社との間で契約をした者)であり、保険会社に対し保険料を支払う義務を負っている人のことです。
◆ 被保険者 : 当該生命保険の対象となる人のことです。
具体的には、その人の死亡・入院に対して保険金や給付金が下りる「その人」のことです。
◆ 保険金受取人:当該生命保険の保険金を受け取る権利がある人のことです。
★ 生命保険金は、遺産(=相続財産。被相続人・死亡した人の財産)に含まれ、相続人の間での遺産分割の対象となるか否か
⇒ 本題の検討です。
結論は、契約者が、保険金受取人として誰を指定しているかによって異なります。
Ⅰ) 被相続人が契約者、被保険者であり、かつ被相続人自らを保険金受取人として指定していた場合
⇒ 当該生命保険は、被相続人が自らの為にかけたということになります。したがって、生命保険金は一旦、被相続人の遺産(相続財産)に組み込まれ、遺産分割の対象となり、各相続人は、被相続人の遺言や、相続人間の遺産分割協議等で定めた相続分、あるいは法定相続分に応じて算出された生命保険金額を取得することになります。
Ⅱ) 被相続人が契約者、被保険者であり、保険金受取人として「特定の人」を指定していた場合
⇒ 生命保険金は、被相続人の遺産(相続財産)に組み込まれることなく、指定された「特定の人」が固有の保険金請求権を持つことになり、「特定の人」が生命保険金額全額を受領することになります。
※ (例外) なお、相続人のうちの1人が「特定の人」として生命保険金額全額を受領した場合に、その額が著しく高額で、他の相続人との間に生じる不公平が到底是認できない等の「特段の事情」があると評価される場合には、例外として、当該保険金を「特別受益」(=「特定の人」である相続人が、被相続人の遺産分割にあたって受けるべき財産額の前渡しを受けたものとして扱われること)として扱うとされる場合があります。(原則は、特別受益とはしない) → 平成16年10月29日付最高裁判所決定など。
Ⅲ) 被相続人が契約者、被保険者であり、保険金受取人として単に「相続人」と指定していた場合
⇒ 生命保険金は、被相続人の遺産(相続財産)に組み込まれることなく、各相続人が固有の保険金請求権を持つこととなります。
したがって、各相続人が受領する保険金額については、当該生命保険金は遺産分割の対象とはならないのですが、特段の事情がない限り、下記の判例に従い、原則として Ⅰ) と同様に、各相続人間において相続分の割合に応じ算出された生命保険金額を受領することになると考えられます。
※ 参考判例(最高裁判決平成6年7月18日)
「 保険契約において保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の『相続人』と指定した場合は,特段の事情がない限り,右指定には相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれ,各保険金受取人の有する権利の割合は相続分の割合になる。」
⇒ 但し、生命保険約款において、相続人間で均等額で配分する旨の規定がある場合には、これに従うことになります。
Ⅳ) 被相続人が契約者、被保険者であり、保険金受取人を指定しなかった場合
⇒ 通常は、生命保険約款に、「被保険者の相続人に支払う」旨の条項がありますので、上記 Ⅲ) と同様に考えることになります。
★ 生命保険金受領と課税について
(詳細に至る場合には、税理士にご相談なさることをお勧めします。)
被保険者 - 保険料負担者 - 保険金受取人 - 課税
被相続人 - 被相続人 - 相続人 - 贈与税
被相続人 - 相続人 - 相続人 - 所得税
被相続人 - 相続人 - 相続人以外の「特定の人」 - 贈与税
☆ この点につき、文献2冊を参照させて頂きましたが、ご覧になった税理士の方から、「生存保険金の場合には贈与税が課税されますが、死亡保険金の場合には相続税の課税となります。」とのコメントを頂きました。
税務につきましては、税理士さんに最終的にご確認頂けましたら幸いです。
以上、もっと奥深い分野ではありますが、概略をお伝えできましたら幸いです。
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