
4.52012
皆様、集中深夜お疲れ様でございます。
只今、朝3:46、ちょっと寝なくてはならない時間になりましたが、お恥ずかしながら一度作成した原稿を何かの操作ミスで消してしまい、意地になって再現している次第でございますm(_ _)m。
まず前提として、訴訟案件は二分化して民事・刑事に分かれますが(刑事はいわゆる被告人を検察が追及し、懲役3年などの判決が下るもの。テレビ番組では刑事法廷の映像が流れることが多い)、本件については、あくまでも民事訴訟のことであるとしてご理解下さいませ。
民事訴訟が開始した段階では、とりあえず一方代理人から準備書面という主張書面を裁判所に提出し、次回は相手方代理人がその反論等を準備書面として主張、このようなこと(書面主義)が何回か繰り返された時点で、そろそろ本件訴訟の争点が見えてきたなぁ・・・という段階で、裁判官が一度、双方間で和解の成立が見込まれるかどうかお尋ねになることが多いです。
しかしこの段階では、双方ともある程度白黒つけて欲しい、という気持ちが強いので、なかなか和解に終わることは無いことが通例です。
そうなると、訴訟の方は進行し、証拠調べ(人証の決定)、いわゆる証人尋問、本人尋問が法廷において行われることになります。
この際に代理人として重要なのは、勿論証人尋問等を精一杯務めたうえで、
★ 裁判官が証人に対し、どのような質問を行ったのか ← 裁判所の関心事項
となります。-を聴き漏らさないことが肝要です。
そして、証拠調べが終わりました場合、あとは判決を待つだけになりますが、
余程双方が激論を交わしている場合を除き、通常、裁判官から両代理人に対して
証拠調べを経た段階で、改めて和解の機会があるかどうかのお尋ねがあります。
(これを双方代理人が拒否することは通常ありません。)
★ さて、この時は双方代理人は、耳をダンボにして、裁判官の一言一言を聞き漏らさないようにしなければなりません。和解が不成立となれば判決になることは前述したとおりですが、和解の席上にいる裁判官が、余程の場合(異動など)が無い限り書くことになりますので、裁判官が本件民事訴訟について形成した心証を開示することが多いからです。
この時、訴訟代理人としては、裁判官の心証開示を注意深く拝聴しながら、判決で予想される金額、控訴した場合に覆るような状況があるか、控訴する場合のコストの場合等を考えながら、依頼者との間で協議をすることになります。
※ とはいえ、私が以前経験した裁判では(相手方も別訴を起こした)、和解の席上では裁判からかなり前向きな御言葉を引き出したのですが、結果は双方痛み分けで終わったということもございましたヽ(`Д´#)ノ
また、変わった方法としては(弁護士によりますが)、担当裁判官に非公式に面談を申し込む場合もございます。私がかつて名古屋地裁で行った不当解雇の労働審判事件(当方企業側)につき、労働審判書で決まった金額にあまりにも根拠がないことから、企業側の意向もありこれを蹴り(労働審判では、訴訟になっても同じ裁判体が判断することになりますので、蹴らないことが一般的です)、訴訟に移行しました。訴訟も終盤にさしかかり、和解等の話が出始めたころ、御担当裁判所にご面談の約束をさせて頂き、企業担当者数名を連れて(=実際の裁判官の判断をきちんと直接聞いて頂いて、社内で検討して頂く為。)東京から名古屋に参りました。その際、わざわざ東京から弊職らが参ったという事実もあったからでしょうが、本訴ではここは大丈夫だけど、この部分が弱いと感じます、といった率直なお話を伺うことができ、その後、労働審判で支払いを求められた金額の1/3で和解が成立致しました。
東京高裁でも、やはり人災事件で同様に面談を申し入れたことがあり、責任社員に同行頂いて参りました。裁判所としても、和解をするにも企業の場合、組織としての決定手続き、説得手続き、決裁が要することをご理解下さっておりますので、本訴のいろいろな争点と心証をお伺いすることができ、後日円満に和解が成立致しました。
勿論、訴訟期日外の面談はお断り、というお考えの裁判所もいらっしゃるかと思いますので全てに当てはまるものではございませんが・・。
裁判官が講演で仰ったことでは、100件民事訴訟事件がある場合、約8割は裁判上の和解で解決していることになります。
勿論和解になれば、裁判官は長大な判決文を起案なさる必要もございませんし、書記官のかたも証人尋問のテープ起こしをなさらなくて良くなりますので、裁判所としても負担が減るのですが、双方当事者によっても、主張をし合った上での和解であり、控訴した場合に判断が変わる可能性、控訴費用、コスト(時間・費用双方)の問題に照らせば早期解決を図る上で重要かと存じます。
以上、長々記してしまいました。民事訴訟の現場状況をご把握頂けましたら幸いです。
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