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【 建築 】 建築訴訟事件における ” 争点整理 ” 方法について (訴訟全般の争点整理から)

週後半(日付変わって金曜日ですが)の深夜0時過ぎ、皆様如何お過ごしでしょうか。
弊職は明日午前中、東京地裁立川支部という、立川駅からモノレールに乗らなくてはならない(あるいはバス)不便な裁判所に、品川区から遙々行かなければならないので、少し早めに就寝しようと思いつつ、当ブログを書いております♪

弊職は現在、建築訴訟を数件抱えておりますが、そのうち東京地方裁判所の建築専門部(民事22部)に係属している事件もございます。

まず、訴訟全般について、どのように進行し、和解(前事件の7割強は裁判上の和解で解決するようです)、あるいは判決まで至るかを簡単に説明させて頂きます。

原告、及び被告は、まず原告の「訴状」書面に対し、被告が「答弁書」書面で、”認否”(相手方の主張事実に対して、「この部分は当っているので認めます。」、「この部分は違っているので否認します。」、「この法律的主張は争います。」というように、分別していく作業です)、”反論”をします。
その後、その被告の書面に対して、原告が”準備書面”でさらに”認否・反論”、その原告書面に対して、さらに被告が”準備書面”で再反論・・・ということが何度か繰り返されます。
その中で、当該訴訟案件につき、当事者間で争いのない部分はどんどん削がれていき、争いとなっている「争点」が整理されていきます。その争点が明らかになってきた時点で、和解が入ることもありますし、証人尋問を行ったりして、どちら側の主張が正しいのかを明らかにしていきます。
この手続きのなかで担当裁判官は心証を形成し、両当事者に和解を勧めたり、判決を下したりするワケです。

この一般的訴訟においても、裁判所が当事者双方から提出されている複数の準備書面(主張書面)を踏まえて、交通整理のように、「争点整理」というメモを作成し、両当事者に渡して下さることもございます。

そのような「争点整理」の手続きですが、東京地裁民事22部(建築専門部)は合理的な手法を採用しております(勿論、これに対する批判等を論文等で記している先生方も複数おられますが・・。)

建築訴訟は、概して内容が複雑であり、金額主張も高額になることが多く、また、建築分野における専門知識等が必要になることから、紛争解決までに至る時間が長期になることが少なくありません。

その回避する手段として、ある程度争い部分が見えてくると、早い段階で調停に回す(付調停)ことが殆どです。
そしてその調停手続きの中では、担当裁判官のほか、専門家調停委員(建築士など)や法律家調停委員(建築事件に造詣が深い弁護士など)が同席し、裁判官と事前協議をしながら、各争点の整理( ※ 建築工事のどの部分に瑕疵=ミス、欠陥 があるかなど)を行ったり、場合によっては現場検証を行ったりします。
そのような交通整理手続きのなかで、両当事者に和解案を提示したり、和解が難しい場合には、もう一度訴訟手続きに戻して証人尋問をしたり、という道筋を辿ることになります。

この表(エクセルデータで裁判所から交付されます)は、調停手続きのなかで、東京地裁建築専門部(民事22部)が採用しているものです。

ご覧のとおり、原告は、主張する工事の瑕疵(ミス、欠陥)について、項目番号を振り、どのような内容の瑕疵があるのか、その瑕疵の主張に対応する証拠はどれか、被告はこれに対して、それを瑕疵であると認めるのか、認めないのか、その簡略な理由などを記入します。また、仮にその瑕疵部分の工事を行った場合にいくら費用がかかるのかを記載する欄もあります。

この表を、毎回調停手続きの際に、原告と被告がそれぞれ交換しながら、一つの表を整理していくことになります。

長文になってしまいましたが、建築訴訟での交通整理、なんとなくイメージを掴んで頂けましたでしょうか。
ご参考になれば幸いです♪

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