
4.252012
調停、審判、訴訟の場面、あるいは後遺障害等級認定の場面において・・・特に、離婚(不倫相手への請求含む)、労働事件、交通事故等において、心療内科(精神科)のドクターがご作成なさった、「うつ病」関係の診断書が書証として出されることが頻繁にございます。
それは、慰謝料や損害賠償請求の根拠、後遺障害等級認定の根拠となる書証として提出されるのが一般的です。
その分野の専門家でいらっしゃるドクターがご作成なさっているものですから、紛争上はやはり信用性が高く認められるものであり、相手方弁護士としてはこれに対処、反論していかなくてはなりません。
訴訟等の紛争で,うつ病関連については、いくつかの表記のものが出される傾向がございます。
「うつ病」 と明記されている場合もあれば、「心因性抑うつ」、「うつ症状」、「うつ状態」などと書かれていることも多いです。
この診断書の記載につき、精神科ドクターやにも伺ったことがあるのですが、
確かに、労働環境であったり、家庭問題であったり、交通事故であったり、性暴力被害であったりといったエピソードは、被害者の精神状態、気分等に一定の期間、気持ちの落ち込みであったり、食欲減退だったり、性欲低下であったり、意欲低下であったりという状態を発生しめることは十分ありうる。
ただし、それが日々継続し長期にわたり継続し、生活を送ることの障害となっているかどうか、すなわち「うつ病」(医療分野での診断基準はもっと厳密ということですが)ということは直ぐには判断できないし、その他の器質的要素がかかわってくることも多い。
したがって、精神科ドクターとしては、継続診断をして、明らかに「うつ病」であると診断できる場合には、「うつ病」と記載するし、あくまでも、前述の様々な意欲減退の「うつ症状」はあるが、それが「うつ病」と診断するまでに至らない状況では、「抑うつ」、「うつ症状」、「うつ状態」などと記載なさることが多い、と皆様仰います。
診断書を提出した側(主として請求する原告側)は、それを根拠として色々な論理主張を構築しますが、実際に証人尋問等で、どのような診察を受けているのか、どのような頻度でお薬を飲んでいるのか、出ているお薬はどのような名前か、などを尋ねると、「睡眠導入剤のみです。」、「気分が落ち着かない時に飲むぐらいです。」などということも結構あります。
したがって、弁護士としては、相手方から診断書が書証として提出された場合、専門家でいらっしゃるドクターがどのような趣旨でお書きになったのか、ということを検討していく必要があるのです。
なお、この「うつ病」、「うつ状態」、「うつ症状」等の診断書の記載につきましては、ご専門家の精神科ドクターの分かりやすいホームページがございましたので、ご紹介させて頂きます。
⇒ 「精神科医おがたのブログ」 ・・うつ状態とうつ病の違い
とても分かりやすく書いていらっしゃるブログです♪
以上、ご参考になりましたら幸いです♪
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